星がきらきら

Mais comme elle est loin!/遠き七つの星へ愛を

Fearのライブ映像について(ネタバレ有り)

Kis-My-Ftに逢える de show2022を観てきた。

細かく数えると都合7回目のメンバーへの逢瀬であったが、それは初めての「キスマイのライブ」だった。その時に得た沢山の感情は文章では言い表せないほどの感動で、出来るだけ忘れないうちに書き記したいと思っていたのだが、取り急ぎFearの演出の話をさせて欲しい。

 

ライブでのFearの映像を北山宏光が担当しているという話は1月のレポで見ていた。ROTでもFearの映像の話や、映像収録の様子は収められていて、その拘りや、「気持ち悪くしたい」と言う彼の演出意図が明かされるうちに「早く見たい」という気持ちはどんどんと強く募っていった。何が起こっているのだろうと知りたくて仕方がなかった、それについて。

 

以下、思い切りネタバレです。ライブ全体の構成的な部分にも触れます。あと一回しか見ていないので、記憶ところどころ違うと思います。ROTの記憶すら飛ばして公開してました、ちょっと直した。(違ったら直すのでおしえてくださいおねがいします)

 

※いつもの与太記事です

 

Fearの映像の構成は大体以下のようになっていた。

ドアップの目(ROT参照) →FearのMVの前奏&後奏のときみたいな7人の映像(蝶が飛ぶ)→(歌始まる)背景は歌ってるメンバーのデッサンと言うか、デッサンじゃないんだけど衣装の模様でそのまま線画みたいになってるやつ(ただところどころ写真そのままなので気持ち悪い)→(サビ前)集合体恐怖症発狂するだろうなというタイプの目とか顔パーツのコラージュっぽい感じ→(サビ)赤背景に大量の手映像、腕の動きは振りとリンクする(メインモニターでは大量の腕がうごめきながら木が形作られていて、メインモニター下、キスマイが踊っているのステージ段のモニターではお化け屋敷よろしく執念とか怨念がこもってそうな腕の影がぺたぺたと張り付いている、ROTでも見ようと思えば見える)→その腕がFearMVラストで北山さんの背中から出てた白い蝶(大量)に変わる→暗転

 

最初はメインモニター下、窓か障子に張り付いているようにも見える手はライブにこれなかった人間の「中に入りたい」という念みたいだな~だとしたら成仏して終わるラスト面白すぎだな〜〜木はシンゴジラみたいだったな~と思っていたものの、会場を出てだいぶ後になってから気が付いた。

 

あの木、桜では?

 

そもそも、今回のライブのメインモチーフは。例えばTo-y2がデジタルとかおもちゃ箱で、HOMEが水とログハウスだとしたら、逢える de showのそれは、花(植物)だった。

開場前の照明の模様は木漏れ日だし、ステージに落ちる照明の模様も花だったし、Luv Biasは藤みたいなのが降ってくるし、メインステージは言わずもがな花だし、衣装も花柄の衣装使ってるし、Luv Biasのスタンドマイクにも花ついてたし。

そしてFear、普通に「灰の桜は」という歌詞がある。そして今回、ライブのコンセプトから映像を形作るときにこの「桜」を拾うのは自然の流れだと思った。キスマイの映像を映す方のモニターは灰色(白黒)になっていたことを考えても、この歌詞のチョイスが強い気がする。

(そもそもMV自体樹海でありつまり植物モチーフなのだが)(あとこの時の衣装にテントウムシがいるのと、Fearに蝶がいるのも相性はいいよね)

 

そしてこの「桜」は、卒業だとかの美しいイメージからではなく「生と死」の象徴、具体例を出すと梶井基次郎の『櫻の樹の下には』的なイメージから持ってきているとすると、メインモニターに木があって、その木の形が割と桜っぽくて、その下で地面から腕生えてうごうごしてたことへの説明がつくのだ。

桜の木と、死体。

一体どんな樹の花でも、所謂真つ盛りといふ状態に達すると、あたりの空気のなかへ一種神秘な雰囲気を撒き散らすものだ。それは、よく廻つた独楽が完全な静止に澄むやうに、また、音楽の上手な演奏がきまつてなにかの幻覚を伴ふやうに、灼熱した生殖の幻覚させる後光のやうなものだ。それは人の心を撲たずにはおかない、不思議な、生き生きとした、美しさだ。

Fearの振りには、一瞬止まる瞬間がある。私達はいつも彼らに幻覚を見る。サビ前の横尾さんの照明の後光的な感じがヤバかった。(私感)

そして人間のやうな屍体、屍体はみな腐爛して蛆が湧き、堪らなく臭い。それでゐて水晶のやうな液をたらたらとたらしてゐる。桜の根は貪婪な蛸のやうに、それを抱きかかへ、いそぎんちやくの食糸のやうな毛根を聚めて、その液体を吸つてゐる。

MステのFearパフォ衣装で赤い糸めっちゃ垂れてたこと考えると、なんなら最初からあの振り付けは桜モチーフだったんじゃ、とか、根から血を吸うタイプの赤照明なんだろうなとか考えてしまい…

 

とはいえもし「桜」がキスマイの暗喩なら「屍体」は何の暗喩なのか怖くなっちゃうので、全てこの話は妄想です。おわり!

 

Fearの木が桜だとすると、あの背中から出た蝶は蝶じゃなくて蛾だったんじゃないか、とか、ライブ映像の蝶、MVより白くなかった…?とか考えたりもする。形はシャクガ系統っぽかったし(捏造記憶だよ)、蝶や蝶の幼虫は桜にあまり止まらないんだけど各種蛾の幼虫は桜に止まるし、白い蝶より白い蛾の方がレパートリーが多い気がするし、いや蝶と蛾自体厳密な区別はないわけですが…ROTのコンテに思いっきり「蝶」って書いてある、ただMVの蝶とは別個体

・そして虫が苦手な人は絶対見ちゃいけないやつなんですが、「桜 サクラスガ」で検索して出てくる外国の食害画像に抱く気持ち悪いの感情、映像の気持ち悪さと一致した。特に幼虫が折り重なってるのが腕の木のそれにかなり近いし、丸い網の蜘蛛の巣みたいになってるやつはサビ前の目のコラージュっぽかった。

桜の樹の下には屍体が埋まっている!

これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。

・この冒頭の『俺はあの美しさが信じられない』、アイドルを見ているときの感情。(私感)