星がきらきら

Mais comme elle est loin!/遠き七つの星へ愛を

少年たちと「若者たち」と「ともに」

※舞台「少年たち」のストーリーのネタバレを含みます
※思いついたこととにかく早く発表したいの欲に抗えず、7/22時点の不完全な歌詞情報のまま見切り発進で記事公開しています、正直8月中旬以降に公開するつもりだった、文章のシメもそういう前提で書いてた

 

 

色々あってキスマイの曲の歌詞を見ていたのだが、「若者たち」の歌詞を見ていた時にふと気がついた。これは、舞台「少年たち」のテーマソングにもなっている「君にこの歌を」(作詞・藤田敏雄 作曲/編曲・白鳥八郎)のインスパイアソングだ。

恐らくデビューシングル発売当時の時点で気づいてる人はいたのだと思う。「若者たち」は「少年たち」と地続きなタイトルだし、明らかに歌詞が共通する。*1

だが私は三年近くキスマイのファンをやっていて初めて気がついたことだった。

 

何と言うか、北山さんの退所理由は「若者たち」みたいだな…とは、退所が発表された当時から思っていた。

人生は一度きり 生命(いのち)はひとつ
だから幸せ探す 旅をするのさ

「幸せになりましょう!」TV Guide Alphaでそう語るインタビューを見ても、再びそう思った。部屋を飛び出し、壁を壊し、地図のない旅に出たいんだな、この人は。それこそ私が解釈に執念を燃やした「灰になる前に」のライブ演出のように。

 

だからこそ、その気づきにびっくりしてしまったのだ、今更。何故なら「君にこの歌を」は別れの歌だからだ。

 

「少年たち」では終盤に少年が一人死ぬ。「君にこの歌を」は、その一人が残された人たちに向けた、メッセージとなる。そして、亡くなった一人の心情を描いた歌でありながら、この曲は亡くなった一人を除く残された少年たち全員で歌われる歌でもある。*2

「若者たち」の歌詞を改めてみた。ずっと気づいてはいなかったが、「君にこの歌を」のインスパイアソングである以上、この曲も、少しだけ別れを内包している。

 

そして気づく。「ともに」も同じエッセンスを持ってる歌だ。

「ともに」は、「君にこの歌を」と同じように、"さよなら"と"元気で"と"お別れのあいさつ"の代わりの、メンバー全員で歌う歌だ。

 

 

 

ジャニー喜多川は、「少年たち」を見てKis-My-Ft2のデビューを決めたと言われている。

その思い出の舞台を、デビューシングルのカップリング曲として記録に残したのだろうということは簡単に推測できる。

 

正直なところ、本人たちが意図的にそれを重ねているとはあまり思えない。

JPOPなんて所詮そんな歌詞なのかもしれない。それでも、

 

明日に向かってくれ
闇の向こうには輝く明日
隣の君の明日に希望を持って

 

君はうたいつつあるきはじめてくれ
夢のために 愛のために 時の流れを歩いていくよ
君は風の中強くはしってくれ
走り出そうか 愛を抱えて

 

君は空見上げ
青空なら肩を組んで
これからも青空に虹が咲くように

 

君はこの歌をうたいつづけてくれ」「僕も共に歌う
どうか歌い続けてくれ 僕も共に歌う
ずっと僕らは歌を歌うよ*3

 

それでも、「ともに」にあるのは「若者たち」からの12年の月日だと思った。

 

僕も共に歌う。 僕も"ともに"歌う。
「若者たち」の歌詞の「Sing for Friend」は「友に歌う」と訳すことができる。"ともに"歌う。

 

「君にこの歌を」は歩みを止めた一人と歩き始める少年たちの別れの歌。「若者たち」は肩を組み歩き始めた若者たちの歌。「ともに」は歩み続ける一人と歩み続ける青年たちの別れの歌。

 

「少年たち」の物語の最後、大人になった10年後の北山さんは、亡くなった一人の少年に対して以下のように語りかける。

 

オレにもさ、ついにガキが出来てさ 
オレも社会の格子無き牢獄ってやつの中にどうやら入っちまったみたいだ
いいなお前は いつまでも自由でさ

 

そうして、副題の「格子無き牢獄」は社会のことだったのだとタイトル回収をした。

「少年たち」に登場するモチーフには恐らく多くの意味が込められており、少年院はデビューできないJr.を閉じ込めている環境を示すものでもあると思われるが*4、この北山さんの台詞はそこを出ても新たな牢獄に閉じ込められることを示唆する台詞である。

北山さんは、その牢獄にいることが出来なかったのかもしれない。

 

でもそれと同時に、「少年たち」の劇中歌である「約束の歌」を思い出す。

まばたきの途中で また季節は巡る
まだ誰も見たことのない 新しい日が来る

まばたきの途中で また僕ら大人になる
さよならは終わりではなく 再会の合言葉

この歌は北山さんが作詞として関わっている歌だ。
「"さよなら"をした後は会いたくなるね」
その再会の合言葉を残す北山さんと彼らはきっと、またいつか出会える。

 

9月からの"新しい日"にも沢山の幸せがありますように。

 

キスマイわっしょい!(Twitterで暴れながら)

 

*1:根本的な話をWikipedia由来の知識ですると、「君にこの歌を」の作詞家である藤田敏雄は1966年に発売されたザ・ブロードサイド・フォーの「若者たち」の作詞をしている。「君にこの歌を」の初出は1967年の初代ジャニーズによるミュージカル「いつか何処かで ~ フォーリーブス物語」であることから、「君にこの歌を」自体、ジャニーズ事務所側から「若者たち」のヒットを踏まえ制作依頼が行われた曲である可能性が高い。ザ・ブロードサイド・フォーの「若者たち」は多くのアーティストによってカバーされているので聴いたことがある人もいるかもしれないが、「君のあの人は 今はもういない」とか「若者はまた歩きはじめる」とかの歌詞は明らかに「君にこの歌を」及び舞台「少年たち」(※フォーリーブスによる初演(1969年)から脱獄時に一人少年が死んでたらしい)に影響を及ぼしている気がするので、何なら歌詞世界の時系列では君にこの歌を→若者たちの順になってる気がするので、キスマイの「若者たち」については厳密には元ネタの元ネタが踏まえられている可能性が高いのだが、話が複雑化するので今回は無かったことにしている。というかこれを整理しようとすると初代ジャニーズの舞台とフォーリーブスの舞台の関係性とかも調べないといけないと思われるのだが、確実にめんどくさいので踏み込みたくない

*2:もしかしたら亡くなった人に向けた、生きてる人の心情を描いた歌なのかもしれないが、私個人としてはそう解釈している

*3:この文章公開時点で2番歌詞は明らかになっていないが、MENT公式Twitterより

*4:フォーリーブスの初演時点でフォーリーブスはデビュー済ではあったが、現在はJr.の登竜門の位置付けになっており、デビュー組の出演は看守など塀の外に出られる人間に限られることから、2010年以降の「少年たち」の物語ではこのニュアンスが含まれていると思われる